第10節

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あるカメレオンが長い間、テラリウムの中で暮らしていた。

そこは決して味気ない場所ではなかった。暖かいランプの下で、カメレオンは小さな世界を作り上げていたのだ。紙でできた舞台、ヤシの木、人形。ときどきそれは、ただひとりで芝居をした。ガラスの中から魚が見ていて、口を少し開けて、まるで驚こうとしているかのようだった。光はすべてをやわらかく、黄金色に染めていた。

だがガラスの向こう側では、絶え間ないざわめきが続いていた――言葉、思考、意味の奔流のように、決して静まることのない音が。

ある夜、テラリウムは車の屋根の上に載っていた。

走りは速く、ほとんど音もなく、そのはるか下には、光る文字でできた高速道路が闇の中を伸びていた。そこでは思考が車のように走り抜けていた。落ち着きなく、ぎらぎらと。いっぽうガラスの中には、奇妙な静けさが横たわっていた。まるで見えない手が世界を止めているかのように。

そして、衝撃が来た。

テラリウムは滑り出し、傾き、落ちた。ガラスは空中で砕け、地面に届く前に、小さな虹のようにきらめいた。

カメレオンは最後の瞬間に飛び出し、道路脇の草むらに着地した。震えながら、息を切らしながら。魚はいなくなっていた。舞台も消えていた。なじみ深かったものは、すべてなくなっていた。

草むらに、ひとりの少年がひざまずいていた。黒い髪、質素なコート。その襟には、小さな金色の王冠のピン。

彼は、ここに完全には属していないように見えた。

「こんにちは」とカメレオンが言った。

「こんにちは」と少年が答えた。

こうして、ふたりの出会いが始まった。

カメレオンは失ったものについて語った。どこかへ行ってしまった飼い主たちのこと、人形のこと、魚のこと、そして突然すべてを満たした孤独のこと。少年は耳を傾けた。彼の中で何かがあたたかくなった。まるで誰かがろうそくに火をともしたかのように。

「じゃあ、ぼくが君の友だちになるよ」と、彼は小さな声で言った。

ふたりは草むらに腰を下ろした。

少年の名はPeterだった。彼は別の惑星のこと、王国のこと、そこには水がないこと、そしてAliceという名の女王のことを語った。彼は顧問である帽子屋のこと、奇妙なアイデアのこと、そして飛ぶ力のことを話した――力ではなく、静けさによって飛ぶ力のことを。彼が静かになり、何か美しいものを思い浮かべると、羽のように軽くなるのだという。

だがここでは、とPeterは言った、うるさすぎるのだと。

思考の高速道路が近くでうなりを上げていた。

ふたりは歩き出した。騒音から離れ、夕暮れの光に包まれた緑の丘へ向かって。

最初、坂はなだらかだった。草が足首にささやきかけるように触れ、冷たく固い岩が姿を現した。カメレオンが道を示した。すばやく、確かな足取りで。Peterはそれに続き、手探りで進み、滑り、また踏ん張った。

ほとんど垂直に見える岩壁の前で、彼は不安になった。

カメレオンが彼を支えた。

ふたりは一緒に登りきった。

頂上から見下ろすと、土地は静かに広がっていた。広げられたじゅうたんのように。思考の高速道路は、地平線の上に細い糸のように見えるだけだった。

Peterはカメレオンの心臓の上に手を置いた。

「ありがとう」と彼は言った。

さらに上へ進むと、ふたりは山の湖を見つけた。

鏡のように静かな水面。岸には、誰もいないデッキチェアが2脚置かれていた。ふたりは腰かけ、足をぶらぶらさせながら、水面に映る森の斜面を眺めた。

風が湖面をなで、最後に残っていたうるさい思考を連れ去っていった。

残ったのは、波がかすかに弾ける音だけだった。

吸って、吐いて。

Peterは眠りに落ちた。

カメレオンは起きていた。

それは星を数えた。あたたかい地面を感じた。そして、言葉を使わずに、長いあいだ知らなかったような澄んだ感覚で思った。

ここが、ぼくのいるべき場所だ。

そして朝が来たとき――もちろん、どんなに静かな逃避行のあとにも、必ず朝はやって来る――、岸辺に座っていたのは、もう少年ではなかった。

そこにデッキチェアに腰かけていたのは、Dr. Peter AuDHSだった。

彼は同じであり、同時に別人でもあった。コートはなく、ピンも消えていたが、そのまなざしは残っていた。世界に参加しながら同時に測ろうとするまなざし。慰めながら同時に整理しようとするまなざし。

その隣にはカメレオンが座っていた。小さくて年老いた生き物のように足をぶらぶらさせながら。ふたりは谷を見下ろしていた。

はるか下、山の湖のはるか下、鏡のはるか下を、思考の高速道路が走っていた。まだ光っていた。まだ車は走っていた。言葉、理由、記憶。まるでどこかにたどり着かなければならないかのように、走り続けていた。

Dr. Peter AuDHSは、もう何も世話をしなくてよくなったかのように、背もたれに身を預けた。

「走れ」と彼は小さな声で言った。それが思考に向けられた言葉なのか、自分自身に向けられた言葉なのかは、はっきりしなかった。

そして彼は、それらを走らせておいた。

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