夕方、Hans Castorp は自分の部屋にいて、荷造りをしていた。
人は他人の死のあと、どれほど早く秩序に戻ってしまうかというのは、敬愛する読者の皆さま、実に味気ないものだ。人は詰め、畳み、置き、ファスナーを閉める。まるでそうすることで、死が自分自身の荷物の中へと忍び込むのを防げるかのように。Hans Castorp は指輪を詰めなかった――指輪はそもそも彼の身についていた。
彼は缶を詰めた。黄色と緑の。
彼は手帳を詰めた。
彼は木の小さな棒を詰めた。それはいまだに彼のポケットの中にあった、この滑稽なライトモティーフのペン。書くことはできないが、こすれて消えることで、あらゆる書くことを可能にするのだ。
それから彼は腰を下ろした。
彼は手帳をテーブルの上に置いた。
彼はそれを開いた。
あるページには、いつもの習慣で数字が並んでいた。血圧の値、睡眠分数、歩数、カロリー。秩序。道徳。記録。
彼は数字を見つめた。
そしてそれから、とてもゆっくりと、まるでそれらをなめらかにしようとするかのように、手でその上をなでた。
彼は木の棒を手に取った。
彼は書いた。
数字ではない。
文だ。
彼はこう書いた。Gustav von A. は今日、水辺で死んだ。
その文はそこにあった。ただ、むき出しで、注釈もなく。そして Hans Castorp は、自分の中で何かがほどけるのを感じた。なぜなら文は、数字とは違って、責任を負うからだ。文は主張する。中立ではない。
彼は続けて書いた。人は身体をよくすることはできる。人は死をよくすることはできない。
彼は筆を止めた。
彼は外の水の音を聞いた。
彼は書いた。私は行く。
それは短い文だった。
ひと刺し。
それから彼は本をぱたんと閉じた。
彼は立ち上がった。
そして今、敬愛する読者の皆さま、彼はあることをした。それは小さなことに見えるが、しかし Hans Castorp にとっては革命だった。
彼は指輪を外した。
彼はそれをテーブルの上に置いた。
その下の指は青白く、細い跡が見えた。皮膚の上の輪。まるでその形が刻み込まれてしまったかのように。
彼は指輪を見つめた。
彼は自分を伴ってきたあらゆる輪のことを思った。進歩の輪、燭台の輪、救命具の輪。
彼は思った。この指輪は神であったのだ。
そして神というものは――それはよく知られているが――常に危険なのだ。
彼は指輪をポケットにしまった。
装飾としてではない。
目としてでもない。
物として。
道具として。
それが彼のシステム2だった。